JR京葉線ダイヤ変更に関する私へのご質問とその回答

Xにて、JR京葉線の9月に予定されているダイヤ変更に関して以下の質問をいただきました。

・今回のJR側の対応をどのように受け止めているか。

・これまでの行政、市議会の動き、それぞれの過程をどのように分析し、考えているか

直接Xでもお返事をしたのですが、複数回に渡って回答していたため、こちらでまとめた形での回答をお伝えします。

長文となりますがご容赦ください。

 3月の京葉線のダイヤ改正後、千葉市の行政が行ったのは、JR東日本の顧客満足度に関する独自調査のみであり、JR東日本との正式な協議の場が持たれたという報告は一切ありません。また、3月のダイヤ改正が都市基盤や都市経営に大きな影響を与えると主張していましたが、改正後にそのような現象が起こったという報告もありません。

 したがって、市議会で反対討論を行った際の私の行政に対する考えに変更はありません。公共交通機関のダイヤ改正は、社会状況に影響される乗客の動向に合わせることで、民間企業の経営を持続させるために不可欠です。乗客の行動変容に関わらず、ダイヤを固定することを求めるのは、正当な理由がない限り、民間企業の経営への不適切な介入となり、行政が行うべきことではありません。この点については、今年1月の臨時議会において反対討論を行った際にも言及いたしました。以下引用

1)必要以上の税金投入や風評被害を防ぐ

 この決議案の中では、「このダイヤ改正は、本市の都市基盤や都市経営を揺るがすもの」と書いてあります。

 もし、これが本当であれば、まさしく市の緊急事態です。ダイヤ改正による経営損失を肩代わりしてでも、ダイヤの改正撤回を訴え、また、今後同様のことが発生しないよう、京葉線の第三セクター化を検討し、市が鉄道の経営に乗り出す、もしくは、複々線化の工事への補助金の投入などを早急に検討するべきです。

 しかし、その場合、その判断に経済的合理性があるかどうかを慎重に検討する必要があります。その判断材料として、2013年3月に行った快速の各駅停車化、また、2022年に行った、朝の通勤快速2便の減便があります。どちらも、本市の都市基盤が揺るぐほどの影響は起きておりません。

 今回のダイヤ改正が、以前と異なり、特異的に都市基盤や都市経営を揺るがすというのであれば、その根拠について明確に言及するべきです。この説明をしないで主観的な主張を行い続けた場合、公共交通事業に対する必要以上の税金投入や風評被害が生じ、実際に千葉市の経済に損害が出る恐れがあります。

引用終わり。

 また、全員にとって利便性が向上するダイヤ改正というものは存在しません。ある利用者層の利便性を優先すると、他の利用者層に不利益が生じる可能性があるため、そのバランスをどのように考えるか、慎重な判断が求められます。

かつて国鉄が経営破綻し、1987年に分割民営化された際、国に継承された債務は24兆98億円にも上り、令和3年度現在でも15兆円以上が残っています。

https://mof.go.jp/faq/budget/01ae.htm

この経営悪化の一因として、政治の過度な介入が挙げられます。国鉄は公共性の名の下に、行政や政治からの圧力を受けて経営上不合理な決定を行い、その結果、経営破綻を招いたと言われています。「我田引鉄」という言葉で揶揄されたように、国会議員や政治家が自身の選挙再選のために、国鉄の財務状況や投資の採算性を無視した設備投資を強要したことが大きな問題でした。このような過ちを繰り返さないためにも、今回のダイヤ改正に対する行政の動きを冷静に見守り、経営と利用者のバランスを考えた慎重な対応が必要だと考えます。

 3月に行われたダイヤ改正は、市が主張していたような都市基盤や都市経営を揺るがすものではありませんでした。仮に現状で心にゆとりのない生活を強いられているとしたら、それはJR東日本のダイヤ改正だけで解決できる問題ではありません。労働環境や保育・介護環境、生活環境の改善など、生活にゆとりが生まれる環境整備と、それを実現できる社会構造の変革が必要です。

 JR東日本とはパートナーとして、持続可能で魅力的なまちづくり、職住近接のまちづくり、そして心に余裕を持てる生活ができるまちづくりを共に考えていくべきです。そのためには、既存のダイヤに固執する解決策だけでは不十分です。社会の変容とともに、交通機関の利用者の行動も変化しています。まちづくりが変われば、交通機関の使い方も変わるのです。

 心に余裕が持てるまちづくりを念頭に置いた今後の交通のあり方については、批判するのではなく、協働して考えていくべきです。私は、そのような協力の姿勢が本当の解決に繋がると信じています。

黒沢和泉・黒澤和泉

くろさわ いずみ 千葉市議会議員(美浜区選出) 無所属、1期目、総務委員会

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